健やかな妊娠を望む女性にとって、妊活中に大切な栄養素について知っておくのは重要なことですね。「葉酸」という成分は、特に妊活中に取り入れたい栄養素の一つとして知られており、厚生省も摂取を推奨しています。この記事では「葉酸」の役割や、摂取目安量、適切な摂取開始時期についてもお伝えします。

これらの情報を活用して、健康的な妊活を心掛けましょう。

そもそも「葉酸」ってなに?

葉酸とはビタミンB群の一種で、DNAの合成、細胞分裂、造血に対して重要な役割を果たしています。成人で葉酸が不足すると、動脈硬化のリスクが上昇したり、口内炎、皮膚障害、貧血といった症状を引き起こしたりしますが、体が形成される過程にある胎児にとっては特に重要な成分といえます。

母体の葉酸の不足が起こると、胎児の神経管の形成へ影響を及ぼし、神経管閉鎖障害をもたらす原因になります。神経管とは、胎児の脳や脊髄などの中枢神経系の元となる非常に重要な器官です。ですから、妊娠中の女性には特に必要な成分といえます。

葉酸は普段の食事で不足することはないといわれていますが、食生活が乱れていたり、偏っていたりすると欠乏症が起こることがあります。葉酸の欠乏が起こる食生活では、他の栄養素もきちんと取れていない場合が多くみられます。

健やかな妊娠には母体の健康がかかせません。妊娠には葉酸だけでなくその他ビタミンE、D、Cなども重要ですので、妊活を始めたら特に意識して栄養バランスの取れた食事を心掛けましょう。

神経管閉鎖障害について知ろう

神経管閉鎖障害(NTDs)とは神経管が作られる妊娠4~5週目に起こる先天性異常で、神経管の癒合不全が起こります。神経管の下部で起こった状態を「二分脊髄」といいます。通常「脊椎」の中にある「脊髄」がさらけ出されている状態なので、神経組織が害されて下肢の運動障害や膀胱・直腸機能障害が起きることがあります。

またそれに関わる合併症もいくつもあり、生活に支障をきたします。神経管の上部で癒合障害が起きると、脳が形成不全になります。この状態を「無脳症」といい、流産や死産の割合が高くなってしまいます。神経管閉鎖障害の全てが葉酸不足によって起こるわけではありませんが、葉酸が神経管の形成に大きく関わっていることは事実なので、妊娠中は特にしっかりと葉酸を取ることで、この障害が起こるリスクの軽減を期待できます。

なぜ葉酸が「妊活中」に必要なのか?

葉酸が胎児の育成に大切であることは分かっても、なぜ妊娠前の妊活中から摂取することを勧められるのでしょうか。それは、胎児の神経管が形成される時期と関係があります。胎児の神経管は受精後28日から6週末までに完成します。

つまり6週末までに十分な葉酸が必要とされるわけです。しかし、妊娠が確定するのは6週末で、女性が妊娠に気付くのも早くて6週目といわれていますので、妊娠に気付いたときには、葉酸が一番必要とされる時期が既に終わっているということになります。

ですから、いつ妊娠しても胎児の発育に十分な葉酸量があるように、妊活中から葉酸の意識的な摂取が勧められるのです。厚生労働省は妊娠を計画している女性に、「妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までの間、葉酸をはじめ、その他のビタミンなどを多く含む栄養バランスのとれた食事が必要である」と摂取を推進しています。

この「妊娠1カ月以上前から」というところに注目して、妊活中の方は葉酸を積極的に取り入れていきましょう。

葉酸がたくさん含まれている食品とは?

「葉酸」という名前の由来はラテン語のホウレン草(folium)からきています。それゆえ、ホウレン草には多くの葉酸(約200㎍/100g)が含まれています。他に、グリーンアスパラガス(182㎍/100g)、春菊(182㎍/100g)、納豆(約96㎍/100g)といったものにもたくさん含まれています。

葉酸自体は水溶性で体内に蓄積することはなく、胎児にも害はないので安心して摂取できます。レバーにもかなりの葉酸(約1040㎍/100g)が含まれています。レバーにはレチノール(ビタミンA)も大量に含まれています。

このレチノールを取り過ぎると胎児に悪影響を及ぼす可能性があると言われているので、妊娠中の多量摂取は勧められていません。

妊活中に必要な葉酸の摂取量は?

一般的に成人の葉酸摂取量の目安は「1日240㎍」で、これは通常の食生活から自然と摂取できるとされています。妊娠中の方は通常+240㎍で、「1日480㎍」の摂取が推奨されています。また、妊活中の方はそれよりも多い、通常の240㎍+400㎍が必要で、「1日約640㎍の摂取」が勧められています。

しかし、葉酸は水溶性なので、ゆでたり洗ったりすることで流れてしまいます。

そうすると食品から得られる葉酸の割合が減ってしまいます。また、体内に取り入れた葉酸が全て吸収されるわけではなく、消化の過程での利用率は50%にまで下がってしまいます。つまり、60㎍の葉酸が含まれている食品を食べたとしても、実際に体に取り入れられる量は約30㎍になるといった具合です。

妊活中に必要な1日の葉酸量640㎍を食べ物だけで取るのは至難の業といえるかもしれません。通常の食事に加えて、例えばホウレン草だと約380g(約13株)、納豆だと約13パックも食べる必要があります。したがって、妊活・妊娠中は通常の食事に加え、サプリメントで摂取を補うことが勧められています。

サプリメントを利用する利点とは?

サプリメントに含まれる合成葉酸の生体利用率は82%で、摂取した量のほとんどがそのまま体に取り入れられます。また、調理による栄養素の損失がないという点も、サプリメントだと効率よく葉酸を摂取できる理由になります。

食事とサプリメントを併用するときは、摂取割合を「通常の食事240㎍+サプリメント400㎍」とすると、妊活に十分な640㎍を手軽に摂取できます。

厚生労働省は妊娠1カ月前から妊娠3ヶ月までは特にこの量の葉酸を取るように推奨しています。その後、妊娠中期から後期にかけて、食事とサプリメントを併用する場合は、必要量の480㎍を「通常の食事240㎍+サプリメント240㎍」の割合で摂取しましょう。

貧血予防に鉄分も共に取ることも勧められています。葉酸の摂取上限量は1000㎍ですが、先ほども述べたように必要以上に摂取した分は体内に蓄積せず排出されますので、取り過ぎによる中毒症状を過度に心配する必要はありません。

むしろ推奨されている目安量を守って毎日取ることが大切になります。胎児の形成初期の大切な時期に必要な栄養素なので、妊活中から葉酸を十分に取って、赤ちゃんの健やかな成長を助けていきましょう。